NASとファイルサーバーの違いを比較。メリット・デメリットまとめ
データの共有が必要になることが多いビジネスシーンでは、NASやファイルサーバーを利用する企業は多いでしょう。しかし、導入するのであればどちらが良いのかと悩んでいませんか?
というのも、どちらもネットワーク上でデータの共有ができるといった共通点があり、多くの場合はこの点しか知らないという方が多く、それぞれの違いについて把握していないことが多いからです。
そこで、今回はNASとファイルサーバーの違いについてご紹介していきます。また、それぞれで利用するメリットやデメリットについてもまとめているので、これから導入を検討されているのであれば、ぜひ参考にしてみてください。
NASとファイルサーバーの異なる点
ここでは、まずそれぞれの違いについてまとめてみました。共通点があるため、多くの方は同じものと認識をしているようですが、機能性や使い方に違いがあります。
そのため、どのような違いがあるのかを知っておかなければ、導入しても効率的な運用ができないかもしれません。それでは、それぞれの違いについて、一つひとつ見ていきましょう。
それぞれの共通点
すでに知っていることかもしれませんが、基礎知識としてまずは共通点からご紹介します。共通点は、「データファイルを複数人で共有できる」「外部からでも保存データにアクセスできる」ということ。
そのため、アクセス権限を与えられていれば、どこからでも管理しているデータにアクセスすることが可能です。社内外を問わずアクセスできるので、最近では在宅業務やテレワークにも利用されているのではないでしょうか?
機能性の違い
NASは本体があればデータファイルを共有することができますが、ファイルサーバーを利用する場合は詳細設定が必要になります。設定をするには専用のソフトウェアをインストールが必要で、これは大きな違いの1つと言えるでしょう。
また、NASには基本システムが搭載された状態で販売されているため、特に必要なければそのまま利用することができますが、アプリケーションを追加することで汎用性の高い機器として運用することも可能です。
一方、ファイルサーバーは目的や利用環境に合わせて構築する必要があり、利用までに時間とコストがかかってしまいます。しかし、OSやソフトウェアを組み合わせた自由なカスタマイズが可能な点が異なります。
他にも、NASはデータ共有・編集に向いている、ファイルサーバーはサーバーダウンのリスクが少ないといった違いもあります。このように、それぞれで機能性が異なるので、事前に把握しておくことで適切な機器を選ぶことができるでしょう。
使い方の違い
まずNASの使い方ですが、基本的にはバックアップ用として利用するものだと言われています。というのも、機能の拡張性や細かいユーザー管理に向かないため、共同で作業するために使う方法に適していないからです。
ですが、最近では高性能な機器が販売されているため、ファイルサーバーの代わりとして利用できる機器も存在しています。そのため、機能性の高い機器であれば、安全にデータの管理・共有といった業務が可能になると言えるでしょう。
ファイルサーバーの使い方は、ファイルデータの保存や共有など、ストレージとしての利用が基本。複数のユーザーがさまざまなデバイスからアクセスが可能ですし、データの保存や閲覧だけでなく、修正・変更・削除などが行えます。
NASと比べて共同で作業することが可能になるので、作業効率の向上が期待できると言えるでしょう。
NASを導入する3つのメリット
ここでは、NASを利用するにあたってのメリットやデメリットをまとめてみました。何も知らずに導入してしまうと、業務効率の低下や本来の目的とは違った使い方をしなければなりません。そうならないためにも、以下でご紹介するメリット・デメリットを一つひとつ見ていきましょう。
導入しやすく省スペースで利用可能
ファイルサーバーのように専用のソフトウェアをインストールする必要がなく、本体さえあればすぐに利用できます。難しい設定が不要なので、導入しやすいといった点がメリットになります。
また、本体はコンパクトなマシンなので、設置スペースが広くなくても導入できます。そのため、規模を問わずどのような企業でも省スペースで利用することができるので、設置場所に悩む心配はありません。
低コストで導入できる
ファールサーバーと比べて販売価格が安価なので、低コストで導入できるのは大きなメリットです。さらに、ライセンス費用も必要ないので、運用コストを抑えてデータ管理・共有することが可能です。
運用管理がシンプルで使いやすい
webコンソールがすでに用意されているものが多いため、運用管理がシンプルで使いやすくなっています。種類を問わず複数のサーバーからデータ共有が可能なので、簡単で楽な運用管理を実現することができます。
NASを導入する2つのデメリット
機能を拡張する性能が低い
基本的な機能はデータファイルの共有。機能を拡張する性能に関してはファイルサーバーよりも劣ってしまいます。そのため、ユーザー管理やデータ共有以外の機能を増やすことができないといったデメリットがあります。
アップロードファイルの編集はできない
アップロードファイルを直接編集することができないのも、デメリットの1つ。機器によっては編集可能なものもありますが、そういった機種は少ないと言われています。効率的な業務を目的とするなら、NASの導入はあまり向いていません。
ファイルサーバーを導入する3つのメリット
ここでは、ファイルサーバーを利用するにあたってのメリットやデメリットについてまとめてみました。NASにはないメリットがあるため、導入を検討する方は多いと思いますが、デメリットも多いので両方をしっかりと把握してから導入することをおすすめします。
柔軟性と拡張性に優れている
最大のメリットは柔軟性と拡張性に優れていること。必要なデータ管理用のソフトウェアがあれば、インストールすることが可能となっています。また、規模の大きな環境でも十分な共有スペースを確保できますし、きちんとした制限を設けることセキュリティを強化することも可能です。
応用範囲が広い
あらかじめサーバーのみで稼働するアプリが備わっていることもありますし、後々必要なアプリをインストールして機能拡張が可能になります。そのため、応用範囲が広いこともメリットの1つ。また、トラブル発生時に役立つ機能が備わっていることもあります。
ストレス軽減と時間効率の向上
データのアップロード・ダウンロードが容易にできる他、サーバーにアクセスするだけでデータ共有が可能です。重要なデータもわざわざ記憶媒体に移して渡す動作が不要なので、ストレスなくデータ管理と共有が可能になり、時間効率の向上も期待できます。
NASを導入する2つのデメリット
>導入コストと手間がかかる
導入には専用ソフトウェアの費用や年間保守費用などが必要。導入コストがかかります。さらに、専用ソフトウェアのインストールが必要で、利用するまでに時間がかかるといったデメリットもあります。他にも、予期せぬトラブルに備えて、重要データはバックアップしておかなければなりません。
管理者の細かい規定作成が必要
管理・共有データの取り扱いの体制を考えて、管理者の細かい規定作成が必要であることも、デメリットの1つだと言えます。従来まではデバイスの管理者がデータ管理・共有の責任を任されていたようですが、サーバーの利用は責任が複雑化してしまうので、規定作成という手間がかかります。
目的に合った機器を導入することが大切
NASとファイルサーバーでは機能性や使い方に違いがあり、それぞれでメリット・デメリットが存在します。目的によって導入する機器は異なりますし、利用するにあたって安全にデータ管理や共有をするのであれば、メリットやデメリットの把握は必要です。これから導入を考えている方、どちらを選ぶべきか迷っている方は、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。