RAID5の故障対処法|HDDが2台故障した時の注意点
近年、パソコンやスマートフォンをはじめ、さまざまな機器を使ったデータを大量に取り扱っている方が増えています。そんな大量のデータを管理できるだけでなく、複数のHDDを使用するためトラブル発生時でも冗長性があるとして、RAID5を利用している方は多いのではないでしょうか?
しかし、冗長性があるからと言って絶対に安全であるとはいえません。というのも、HDDが2台故障してしまうとシステムが停止してしまうからです。とはいえ、使用していればいずれは故障してしまうもの。ですが、作業中に突然故障してしまうと困ってしまうので、急なトラブルに備えて対処法は知っておきたいものです。
そこで、今回はRAID5の故障対処法についてご紹介していきます。また、故障時にはやってはいけない注意点についてもご紹介しているので、対処法と合わせて知っておくと大切なデータを失うことなく復旧することができるでしょう。
RAID5の基礎知識とメリット・デメリット
使用している方の中には、基礎知識をはじめどういったメリット・デメリットがあるのかを知らないという方もいるのではないでしょうか?そういった方のために、ここではまず基礎知識とメリット・デメリットについてまとめてみました。
RAIDには複数の種類がありますし、それぞれで機器の特徴やメリットなどが異なります。目的に合った使い方や安全に使用するといった面で大切な情報なので、まずは基礎知識などについて見ていきましょう。
3台以上のHDDを使用する記憶媒体
RAID5では最低3台のハードディスクを使用する記憶媒体となっています。そして、データの書き込みを行う際にはデータの修復を可能にする冗長コードをそれぞれのディスクへと分散して保存する仕組みとなっています。
そのため、もしもハードディスクが故障したとしても1台だけであればシステムが停止することなく使用することが可能。ですので、この時点でデータのバックアップを取っておけば、それ以上の故障が発生したとしてもデータを失う心配はないでしょう。
しかし、通常通りに稼働させることができないのでパフォーマンスが低下してしまいますし、2台故障してしまった場合はシステムが停止してしまい、データ復旧も不可能になってしまいます。
4つのメリット
使用するメリットは冗長性に優れていること。通常の記憶媒体であればハードディスクは1台のみの使用となるため、故障した時点でさまざまなトラブルが発生しますし、同時にデータのバックアップや復旧が不可能になります。
しかし、RAID5ならパフォーマンスの低下は発生しますが、1台のみの故障であればデータを失う心配がないというメリットがあります。また、3台以上の使用なら読み書きの高速化が見込めますし、利用効率が高いといったメリットもあります。
4つのデメリット
冗長性に優れた記憶媒体ではありますが、ハードディスクが2台故障すると稼働しなくなります。これは、増設して使用台数を増やしたとしても同じで、たとえ5台使用していたとしても2台故障してしまうとデータ復旧は不可能になります。
また、故障が1台だけであれば稼働し続けるので、故障に気づかないといったデメリットがあります。つまり、気づいたときには2台故障していたということになるケースが多いので、対処が遅れてしまいデータ復旧ができない状態になる可能性があります。
やってはいけない故障時の注意点
どんな機器にも寿命というものが存在するので、今は問題なくともいずれは故障してしまうことは避けられません。また、デメリットでご紹介したように、気づいたときには2台故障してしまったという場合もあります。
そんなとき、正しい対処法を知っておけば良いのですが、間違った対処をしてしまいデータ復旧が困難になる、または不可能になってしまうケースが多いです。そこで、ここでは故障時にやってはいけない注意点をまとめてみました。
リスクの高いリビルドはNG
故障によるトラブルが発生した場合、リビルドを行うことでデータを元に戻せるといった内容が機器の説明書に記載されていると思います。そのため、説明書の内容に従ってリビルドを実行する方は多いでしょう。
しかし、実はとてもリスクの高い行為となっていて、実際に症状が悪化するケースが数多く起きています。この原因は、実行している最中に他のハードディスクにも障害が発生するとリビルドに失敗してしまうからです。
実行中に何事もなく終了すれば特に問題はないのですが、もしも何らかのトラブルが発生すると大切なデータを失うことになります。そのため、説明書に記載されているからと言って安易に実行しないように注意しましょう。
故障したHDDを取り出してPCに接続する
故障した機器を取り出してパソコンに接続するケースも多いですが、この行為はデータを抹消する危険性があります。パソコンに接続すると初期化を促すメッセージが表示されるため、うっかり実行してしまうケースはとても多いようです。
ハードディスクの内部は精密機器がたくさん使用されているので、故障している状態で通電させてしまうと症状を悪化させてしまいます。そうなると完全にデータを消失することになるので危険です。
また、チェックディスクを実行するのもNGです。場合によってはディスク内のデータが全て消失してしまう可能性がありますし、プロのデータ復旧専門業者に依頼しても回復率を期待できなくなってしまいます。
新しいHDDと入れ替えるのは危険
故障した機器を新しいものへと交換すれば、データを復旧させることができると言われています。しかし、交換時に自動的にリビルドが行われてしまうことがあり、復旧したいものとは異なるデータが上書きされてしまい、目的のデータを復旧できなくなる場合があるので交換作業はおすすめできません。
よくわからない状態でサポートセンターの指示に従う
急なトラブルが発生したとき、サポートセンターに問い合わせる方は多いでしょう。しかし、自分自身がよくわからないという状態でサポートセンターに問い合わせをするのはおすすめできません。
というのも、オペレーターは相談内容を元に指示を出すので、しっかりと現状を把握しているわけではありません。そのため、指示に従って操作を続けることで状態を悪化させる可能性が高いので、相談する場合は現状を理解しておく必要があるでしょう。
自分でできる故障時の対処法
もしも故障して通常通りに稼働しなくなった場合、症状によっては自分で対処することができます。ここでは、自分でできる症状別の対処法をまとめてみたので、一つひとつ見ていきましょう。
データが見られる状態ならバックアップを取る
もしもデータを見ることができる状態なのであれば、データのバックアップを取ることができます。このとき、機器には故障していることを示すランプが点灯・点滅していると思いますが、その状態でもバックアップは可能です。
データが見られない状態ならむやみに操作しない
故障し際にデータが見られない・アクセスできないといった状態であれば、復旧率を下げないためにもプロのデータ復旧専門業者に依頼することをおすすめします。余計な作業を行うと復旧困難な状態になる、または復旧不可能になる危険性があるので、すぐに使用を中止して専門業者に相談しましょう。
安全な対処法はデータ復旧専門業者への依頼
故障していることが判明した場合、安全な対処法を取るのであればデータ復旧専門業者に依頼することをおすすめします。専門的な知識と技術を持つスタッフが対応してくれるので、「どうすればいいかわからない」「なぜ使えなくなったのかよくわからない」という場合でも復旧が可能なので、お困りの際は一度専門業者に相談してみてください。