RAID・NASってなに?社内サーバーを運用するために知っておきたい3つのポイント
システム管理者の経験もないのに、ある日突然、社内のサーバ管理を任された。
そんな経験はありませんか?
立ち上げたばかりのスタートアップ企業や中小企業では情報システム部門がなく、通常業務と兼務でシステム管理をしている方もいらっしゃる方も多いと思います。兼務であっても、障害が発生した時にやらねばならないことは同じです。急なトラブルにも困らないように、ファイルサーバに障害に備えて押さえておくべきポイントを3つ説明しましょう。
1.ファイルサーバの種類を決める
ファイルサーバは、ハードディスクに保存したファイルやフォルダを、ネットワーク上の他のパソコンと共有することができます。
ファイルを共有する機能はWindowsやMacなどのOSに標準で搭載されていますので、使わなくなった古いパソコンをファイルサーバとして運用するケースもあるでしょう。
しかしハードディスクを古いパソコンに載せて使い続けても、いつ壊れてしまうか不安です。できればファイルサーバとして新しくパソコンを購入するか、ファイルサーバに特化した製品であるNAS(Network Attached Storage)を購入することをおすすめします。
NASには本体の中にハードディスクを搭載しており、LAN接続のためのコネクタが付いています。簡単な設定で、ネットワークに接続した他のパソコンからハードディスクに保存したファイルを読み書きできます。NAS自体にOSが搭載されていて、ネットワーク上の他のパソコンから、Webブラウザを使って設定作業ができますので、WindowsやMac、Linuxが混在する環境でも問題なく使えます。ディスプレイやマウス、キーボードも不要なので、置き場所にも困りません。
また、ハードディスクの物理障害に備えて、RAIDという技術を採用したNAS製品を使うのがおすすめです。
RAIDは「Redundant Arrays of Independent Disks」の略で、「レイド」と読みます。RAIDの「R」は「Redundant」、「冗長性」という意味です。「同じデータを複数のハードディスクに書き込むことにより、一台のハードディスクが壊れても、他の無傷なハードディスクからデータを復元できます。
2.RAIDのタイプを決める
RAIDで冗長性を確保する方法(レベル)には、RAID0からRAID6までありますが、ここではRAID0、RAID1とRAID5について説明します。
- RAID0「ストライピング」
- 複数のハードディスクにデータを分散して書き込む方法で、「ストライピング」とも呼びます。ただし冗長性がまったくないので、どれか一台のディスクが故障すると、すべてのデータが影響を受けます。そのため厳密にはRAIDとは言えないかもしれません。
- RAID1「ミラーリング」
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最もよくみるタイプのRAIDが、このRAID1です。一部の企業向けパソコンや、比較的安価なNASなどに搭載されています。
データを複数のハードディスクへ同時に書き込むことで冗長性を確保します。1台が故障しても、他のディスクにはデータが残っています。障害が発生した場合には壊れたディスクを交換すればよいため、障害からの復元が早く、耐障害性が高いのが特長です。
ただし、複数のディスクに同じデータが存在することになるので、保存可能なデータの容量は少なくなります。たとえば1TBのハードディスクを2台使用してRAID1を構成すると、保存できる容量は2TBではなく、1TBになります。
- RAID5「パリティディスク分散」
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データ読込速度と耐障害性を確保し、かつディスク容量を効率的に活用できるのがRAID5です。
RAID5では最低3台のハードディスクが必要です。それぞれのディスクに、データと、「パリティ」と呼ばれる復元用のデータを分散して書き込みます。障害発生時には、パリティと他のディスクから安全にデータを復元できます。ディスク1台分のデータをパリティとして使用するため、データの容量は、RAID5を構成するディスクの合計数から1台少ない台数分となります。RAID1と比べると、ディスクの容量を効率的に使えます。
ただしRAID5では、同時に2台以上のディスクに障害が発生した場合には復元できなくなります。
とりあえず手軽にRAIDを使ってみたいならばRAID1を、性能やデータの使用効率を求めるならばRAID5を使うとよいでしょう。
3.運用ルールを決める
ファイルサーバの運用ルールを決めておくのも大事です。
どのデータをどのように保管しておくかルール化しておくと、バックアップや障害からの復元も楽になります。保管したいデータの重要度や使用頻度を分析し、運用ルールを作成します。
- 適切にパーミッションを設定する
- データを使用する部署ごとや、機密レベルに応じて、ファイルやフォルダへのアクセス権を設定します。たとえば重要なデータには一部のスタッフだけに読み書き権限を付与することで、他の部署のスタッフが誤ってファイルを削除してしまうなどの人為的ミスを減らせます。
- 古いデータはアーカイブする
- 一年のうちに一度か二度開くかどうか分からない書類を、ファイルサーバにずっと保管しておくのは非効率的です。重要度と参照頻度の低いデータはファイルサーバに保管せず、DVDなどの光学メディアに移して、棚などに保管しておきましょう。その際どのデータをどの棚に保管したのかを記録しておくとよいでしょう。
- ファイル名は半角英数字でシンプルに
- ファイル名やフォルダには半角英数字でシンプルな名前をつけましょう。
日本語の2バイト文字はファイルシステムなどが変わると、文字化けしてアクセスできなくなる可能性もあります。 - バックアップポリシーを決める
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データのバックアップは重要ですが、すべてのデータを同じようにバックアップするのは非効率的です。
たとえば、重要度が低く更新頻度の低いデータは週一回バックアップし、その一方で毎日更新され業務に影響が大きなデータは毎日バックアップをとるなど、データが損失を受けた場合の影響度を考えながらバックアップの計画を立てましょう。
もしもの時のために、データ復旧会社を選んでおこう
いかがでしょうか。
障害が発生することを見越して準備しておけば、ファイルサーバの構築と運用はそれほど難しいものではありません。
ただ、たとえばRAID5構成のディスクで2台のハードディスクが同時に壊れてしまった場合など、自分ではどうしようもない場合もあります。
そんな場合のために、あらかじめデータ復旧会社を選んでおくことをおすすめします。
ハードディスクの障害が起きたときには、自分で無理に復元を試みようとせず、なるべく早くデータ復旧会社に連絡し、対処を依頼するとよいでしょう。